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レブラは二人に洗い浚い、知っていることは話してしまった。事実だけではなく、つまらない噂話から重要な推測まで、自分の余計な判断は一切差し挟まずに。こんなに協力的な事情聴取は、マリアの刑事生活でも初めてのこと、いや、ラパス連邦警察始まって以来のことかもしれない。 それというのも、ルカがいたからだ。 レブラを車に押し込み、本部へ着くまでの間に、ルカは大活躍だった。 「『鉄の処女』って知ってます？」 にこにことあどけない笑みを浮かべながら、ルカはレブラに話し掛けていた。 「コール大学の犯罪学教室に一体、残されているんですけどね、こう、人間の形をした容物があると想像してください。中に太い刺がたくさん生えていて、人を中に押し込めて操作すると、ジュースを絞るみたいに、人間が絞られちゃうんですって」 「・・・」 「昔の拷問道具って、そういう大がかりなのが多いんですよ。ずっと時代が現代に近付くにつれ、道具も方法も簡単になってくるんですって」 悪意があるのか、ないのか。根性が悪いのか、どうなのか・・・青い顔をしているレブラに、ルカは無邪気に話し続ける。 「ミシン針ってあるでしょ？あれよりずっと太い針を、爪の間に一本ずつ刺していく方法もあるんですよ。『鉄の処女』は一度使えば死んじゃうからおしまいだけど、これは辛いですよね。指一本に針一本としても、両手両足で二十本も刺せちゃうから」 「・・・」 「いつまでもジクジク痛んで、いっそ指を切り落としてほしいと思うほどの痛みだそうですよ」 「・・・おい、ルカ」 「額に一滴ずつ雫をたらし続けるのも、辛いらしいですよ。ずうっと、永遠にぴしゃん、ぴしゃんと落ちてくると思うと、気がヘンになっちゃうそうで」 「バカヤロー、やめろ！」 失神寸前のレブラに代わって、とうとうマリアが大声をあげた。 「さっきから気持ちの悪い、拷問の方法論なんか楽しそうにくっちゃべるな！」 「だけど、この方が喋ってくれなきゃあ、するかもしれないんですよ？」 「だったらお前がやれ、あたしにいちいち聞かせるな！胸クソの悪い・・・ヘドが出そうだ」 こいつ、本当に俺の指に針を刺すつもりなのか？まさか・・・いや、あり得るぞ。なんといってもパートナーがマリアだし、第一マリアが陰湿で残忍な拷問を容認しているような発言をしている・・・！ 「全くお前は・・・」 全てを喋り終え、心の平安を手に入れたレブラを取り調べ室に残し、マリアは外に出てため息をついた。 「この、根性悪め」 「どうしてですかあ」 不服そうに小首を傾げるルカ。 「どうしてじゃねえよ。あんなチンピラ、ちょっと脅せば全部ゲロするっていうのに、お前は・・・」 「あ、拷問の話のことですか？」 「あることないこと吹き込みやがって、おかげであたしまで拷問が大好きな変態と思われたじゃないか」 「だって仕方ないでしょ、本当にレブラが話さなければ困るのはぼく達なんですから」 「・・・お前、本気だったのかよ？」 思わず立ち止まり、顔をしげしげと眺めるマリアに、ルカは微笑んだ。 「したくはありませんけれどね」 「信じらんねー・・・」 「まあ、レブラの場合、完全に話す気にはなっていたようですけれど、念を入れておこうかと思ったんです」 「念を入れるくらいなら、一発殴ったほうが早いぜ」 「殴るより、喋ったほうが楽ですもん」 マリアの場合、くどくどと拷問の方法を列挙して脅かすよりも、黙って殴り飛ばすほうが余程手っ取りばやくてしかも楽なのだが、・・・たしかにルカの場合、蹴ったり殴ったりと暴力を揮うよりも、口先でどうにかできるものならばその方が楽なのかもしれない。 「・・・そうだな、お前はチビだからな」 「またチビって言う！せめて体力がないといってくださいっ」 「同じだろ」 「全然違います！マリアさんだって、『おっかねえオンナ』よりも、腕利きの刑事って言われたほうがいいでしょっ」 「うるせえ」 「いたた、・・・暴力反対」 力任せに口を捻られ、涙ぐんで頬を撫でていたルカを見ていて、マリアはふと疑問を抱いた。 「お前・・・鉄の処女はともかく、他のことはやったのか？」 「え、他のことって」 「拷問だよ」 「・・・一度だけ、指に千枚通しを刺し込みました」 穏やかな表情のまま凄まじいことを告白したルカに、マリアは思わず息を呑んでしまった。 「二歳になったばかりの幼児を誘拐した犯人グループの一人でした。高校を出たばかりの少年の集団犯行で」 「で・・・？」 「どうしても、口を割らなくて・・・だから、僕がやりました。パートナーは止めたんですが」 ルカはマリアを見上げ、遣り切れないような表情を見せた。 「六本刺したところで、泣きながら自白しました。爪は三枚まで剥がしてしまっていました・・・でも・・・」 「・・・」 「拷問なんて残酷なことなのに、もっと早くやればよかったと後悔するのはもう、嫌なんです。あんなことは、もうしたくありませんから」 「・・・だったら」 マリアはルカの髪をぐしゃりと撫でた。 「あたしのいないところでやれ！吐きそうになっただろうが」 「うっそだあ」 「・・・知ってるか？いつも一言多く余計なことを言ってばかりだった奴が、ファミリーのボスの怒りを買って口を縫い合わされた話」 「僕、今から腹話術の訓練受けておきますね」 「ああ、それがいいな」 サンゼント・ストリートと大きな通りひとつを隔てたピサン・タウンの裏通りに、小さな塗装工場がある。もうかなり以前から廃屋になっていたのだが、いつの頃からか不良がかった少年達が集まるようになり、その少年達を仕切るチンピラからシンジケートの使いっぱしりが大きな顔で出入りするようになるまで、そう時間はかからなかった。 電気はもう長い間、止められている。それなのに室内が煌々と明るいのは、出入りしているものが持ち込んだ非常灯や簡易発電機が辺りを照らしているからだ。 「おい、おまえ達レブラを見なかったか」 不法に廃屋を占拠しているチンピラ達のアタマらしい男が大声をあげる。光や声が外に漏れても、今更彼らを咎めるものはいない。 「レブラですか？いえ・・・？」 「あいつ、今日はサンゼント・ストリートでアミ張ってたはずですけど」 「そろそろ頭数を揃えなきゃならねえってのに・・・まあいい、お前達カードを集めろ」 リーダーはまだ三十歳にはなっていないような男で、目付きはかなり鋭いが、若さと力に任せて暴れているような雰囲気の男だ。シンジケートに入るために力を付けているといったところだろう。 手下らしい若者達が手に手にカードを持って集まってくる。切札であるかのように大切に、そして誇らしげにリーダーに差し出す。 「今週は十枚を越えましたぜ」 「ふん、なかなか成績がいいな。次！」 「カードは五枚ですが、身分証を二枚手に入れました」 「よし、これで新しいカードが五枚ずつ作れるな」 リーダーの横で一人がカードを数え、一人が記録を付けていく。手に入れたカードの枚数で、集団での地位が上下するのだろう、皆真剣な表情だ。 「全部で百枚足らずか・・・これじゃあ、足りねえな」 「また、やりますか」 一瞬、しんと静まり返った中で、リーダーがぽつりと言った。 「やるか。・・・」 「そうこなくっちゃ」 とたんに男達が生気を取り戻したように騒ぎだす。やる、とは強盗のことを言っているのだ。 キャッシュカードを集めはじめてから、色々な所へ押し入った。今までは、残高がかなりあるカードを持っていそうな人間ばかりを狙い、カード盗難届けを出されるまでの間に全てを使いきらなければならなかったが、今は残高があろうとなかろうと、とにかくカードさえ手に入れればどうとでもなるのである。金持ち、貧乏人、一切おかまいなしだ。使いきってしまったカード一枚を奪うために、幼い子供を殴り殺したこともある。顔を覚えられたと思ったら、子供を抱えた母親をメンバーで嬲り殺した。 金持ちだけを相手にしていたときと違って、相手のガードが格段に弱い。極端な話、瀕死の重病人からカードを抜き取るだけなのだから、楽なものだ。楽が出来るのはそれでいいのだが、たまには緊張とスリルを味わいたいものだ。それには、強盗が一番------ 「バカ野郎、何を浮かれてやがる」 リーダーが一喝した。 「ヘマをして捕まったら大変なことになるんだぞ！てめえらがパクられるだけならかまやしねえが、バックとのつながりまで探られたら・・・」 探られたら、終わりだ。自分たちの組織は崩壊しても、バックに付いているシンジケートは絶対にその繋がりを残すようなヘマはしない上に、シンジケートの首領の意を受けた構成員が草の根分けても自分たちを捜し出して始末するだろう。たとえ捕まったとしても、組織には捜査の手を付けさせない振る舞いをするのが、メンバーとしての当然の心得だ。彼らは未だ正式の構成員ではなく、下部組織員ですらないのだが、シンジケートから様々な恩恵を受けておいて、いざとなると関係ありません、では済むはずがない。 「わかってますよ、リーダー」 調子のよさそうな男が笑った。 「ビコールの方々の名前は出さなきゃあいいんでしょう・・・いや、それよりも失敗しなきゃいいんだ」 「まあ、そうだ。リジェの奴らに先を越されないようにてめえら、しっかりするんだぜ」 「任せてください、リジェのチームにゃ大した奴はいませんぜ」 リーダーがにやりと不敵な笑いを浮かべ、うなずく。隣にいた副官らしき男に顎をしゃくると、副官はウインドウタイプのグラス・メモリーのスイッチを入れた。青白い光がグラス・メモリーの画面に広がった後、黒いラインが走って何かの建物の見取り図を映し出した。 「今度は大きな獲物を狙う。これが何の見取り図か、わかるか？」 「何だか、銀行みたいですね」 「みたいじゃない、そのものさ」 「えっ?!」 男達は愕然としてリーダーを凝視した。銀行といえばガードが固いものの代名詞にもなっているくらいだ。店構えの強固さもさることながら、窓口の職員は大半が高度に発達した人工知能を搭載したカメラが占めており銃を突き付けても一向に恐怖しないために、「強盗」が不可能に近い。もともと、貨幣がすでに存在しないために銀行は強盗よりも破壊活動の方を警戒しているということもあるが、どちらにせよ店の見取り図など、手に入れることは絶対不可能なはずなのに・・・？ 「ど、どうやってそれを・・・」 「警備担当の女課長を落としたのさ」 「はあ・・・」 「マユミがヤクを打って、ヤク中に仕立てあげたんだ。クスリ欲しさに機密を洩らしたって寸法さ。まったく、いつもは何を勘違いしているのか欝陶しいオンナだが、こういう時は役に立つぜ」 「さすがリーダーはオンナの使い方を心得てるんですね・・・マユミって、アレでしょう、押し掛け女房面している、あの」 「尽くしてることに酔ってるんじゃねえですか？」 男達がにやにやと笑うと、リーダーも苦笑を洩らした。 「だから言ってるんだよ、こういう時は役に立つ、ってな」 はは、と声を揃えて男達が笑う。 「この入り口から入って、真っすぐ壁を狙えばカメラの電源を殺すことが出来る。生きて動いている人間なら、どうとでもなる」 「金庫のカードを全部出させたら、きっとビコールのメンバーくらいにはなれますよ」 「メンバーくらい、か、大きく出たな」 「いつやるんですか？」 「あさって、カードが大量に搬入されるそうだ。それを狙う」 「じゃあ、あさってですね」 「そうだ、搬入直後の隙を狙う。武器の調達は出来ているんだろうな？」 「もちろんでさ」 「よし、これで手筈は整ったな。あとは、日を待つばかり、・・・」 「その前に、あたしと遊ぼうぜ」 男達は愕然として辺りを見回した。 突如響いた女の声。この廃工場には女性など出入りしていないし、グループにも女性は入っていないはずなのに、一体------ 「誰だ？！」 「あ、あいつ・・・殺される！」 「サツだ！」 「逃げろ！」 女の------マリアの顔を見知っているメンバーはパニックに陥っている。マリアの手に握られた銃の威力に加え、女だからといった甘さを全く期待できない、恐ろしい相手だという事実が若者達を怯えさせている。 マリアは忍び込んできた二階部分の窓から離れ、物陰に身を隠しながら銃を構えた。 「いまさら、遅えんだよ！」 叫ぶと同時に銃声が響き、メンバーの一人が肩から派手に血を飛び散らせながらふっ飛ばされた。 「死にたくなきゃあ、おとなしくしろ！」 マリアは本気だぞ、とは言わなかった。一度警告すれば、二度目は必要ない。警告を聞かなかった向こう見ずは射殺される運命にある。そんなことは、三つの子供でも知っていることだ。 立て続けにマリアの銃が火を噴き、銃声の数だけメンバーが倒れていく。不意を突かれて慌てていたリーダーも、ようやく落ち着きを取り戻し、叫んだ。 「落ち着け、慌てるな！相手は一人だ、殺してしまえ」 「り、リーダー、あっちからも・・・！」 「なんだと?!」 ふりかえった瞬間、小さな銃声がして手のなかの銃を弾き飛ばしてしまった。これまたいつのまにもぐりこんだのか、高校生のような幼い顔立ちの男が女性用護身銃ほどの口径の銃を構えて立っていた。 「小さな銃でも、急所に当たれば死にますよ」 バカでもわかるような台詞を口にして、男は------ルカは天井に向けて引き金を引いた。錆びて劣化していたワイヤーが切れ、照明器具が落下してきた。 「ぎゃあー！」 「た、助けて・・・！」 広い工場用の照明器具は一基だけでも三十キロは軽く超す重量がある。その照明器具が九基、等間隔に配置された枠を、人が密集している上へ落とすと一体どうなるものか・・・？ 「次はどこの照明でしょうね？」 にっこり笑い、ルカは身を隠した。気配がふっつりと消える。 「畜生、俺達を殺すつもりかよ・・・！」 照明器具の下敷きになったメンバー達は頭から血を流し、歪に曲がった腕や足を押さえて苦しそうに呻いている。折れた肋骨が内臓を傷つけたのか、口から血を吐いて痙攣しているものもいる。下敷きになった全員が死んでもおかしくない状況だ。 それを笑って、・・・！ 「正義の味方面しやがって、くそったれ！」 銃を拾いあげ、毒突いたリーダーの手元すれすれに照明器具が一つ、音をたてて落ちてきた。 「選んだのは君です」 もう一発、天井目掛けて発射したルカの顔は、うってかわった厳しい表情を浮かべていた。 「射殺許可が出るほどの犯罪を犯したのは、君ですよ。今まで殺してきた人達と同じように、虫けらのように殺されても文句も言えない道を選んだのは、君です」 「だからって、殺すのかよ！」 「君達がしてもいいことを、どうしてぼく達がしてはいけないんですか？」 「どこを見てるんだよ！」 不意にマリアの声が響いたかと思うと、背中にひどい衝撃と痛みを受け、もんどりうって倒れこんだ。二階から飛び降りざまに放った蹴りが、リーダーの背を打ったのである。 「畜生、このアマ！」 男達は銃を投げ出し、一斉にマリアを取り囲んだ。これほどの接近戦となると銃は使えない。だが多勢に無勢、たとえあの高校生のような男が助太刀に入ったとしても、まだ十人はいる男達の方が断然、有利だ。いや有利なはず、だった。 「くたばれ！」 「くたばんのはテメーだよっ」 マリアの胸ぐらをつかもうと伸ばしてきた男の手を軽く躱し、握ったままの銃の台尻で顔をぶん殴る。鼻の骨が折れた手応えがして、男がくぐもった悲鳴をあげながら倒れこんだ。 後から殴りかかろうとした男を蹴り倒し、とどめに腹に全体重プラスアルファの力をかけ、踏み付けついでに近くにいた男の腹を蹴り飛ばす。その男の後にいた青年を巻き込んで、積んであった機械部品の山にぶつかり、崩れてきたガラクタに埋もれてしまった。 あっという間に四人を倒したマリアに、リーダーは憎々しげに毒突いた。 「オンナのくせに、・・・ムカつくぜ」 「フン、あたしは一度も女だから喧嘩が弱いなんて言った覚えはないぜ」 睨み合った二人の視線ががっちりと絡み合う。不意に動きだしたリーダーの動きを止めようとマリアが身構えたとき------ひゅん、と妙な音が響いたかと思うと、リーダーの体が地に沈んだ。 「な、なんだ?!」 全員が、一体何が起こったのかわからなかった。視線が集まったその先には、・・・リーダーの足には、妙なものが絡まっていた。数本の細革で編まれ、両端には小石が結び付けられているものが両足にしっかりと絡み付いている。これでは、動きだそうとしていたリーダーが転倒しても不思議ではない。 また、ひゅん、と空気が鳴った。 「うわっ！」 リーダーの隣にいた男が叫んで前につんのめったかと思うと、派手に顎を地面に打ち付けた。そのまま物凄い勢いで後向きに引きずられていく。男の両足にはやはり革紐が絡まっており、そこから長く延びた紐の先端は、ルカが握っていた。 「ルカ・・・あいつ、また妙なものを」 男の足を絡め取った紐を滑車に掛け、そのまま走りだすと男は軽々と滑車の方へ引きずられていく。確かに滑車を使えば、非力なルカでも半分の力で大の男を引きずり回すことが出来る。男が身動きできないうちにあっさりと手錠をかけてしまうと、ポケットに手をつっこんで小さな布の包みを取り出した。 「マリアさん、こっちへ！」 叫ぶと同時に包みを投げようと振りかぶる。ルカの指示に従わないと、どうなるかわかったものではないと判断を下したマリアは、威嚇射撃をしながら走りだした。ルカが投げ付けた包みは、男達の足元に叩きつけられると同時に、白い煙のような粉を猛烈な勢いで舞い上げた。 「うわっ・・・なんだこりゃ！」 「うぐっ・・・」 粉を吸い込んだ男達はしばらくむせ返っていたが、やがて苦しそうに腹部を押さえて座り込んだ。 「うう・・・！」 「げえっ」 ルカは簡易酸素マスクをマリアに手渡し、自分もそれを被った。 「マリアさん、お怪我はありませんか？」 「おい、ルカ、お前何を使った?!」 苦しそうに体を折って嘔吐を続ける男達を横目に、マリアはルカの胸ぐらをつかんだ。 「まさかお前、・・・！」 「ええ、嘔吐弾の中身だけ固体にして、持ってきたんです」 「あ、あたしが吸い込んだらどうしようとか、思わなかったのかよ！」 「だからこっちに来てくださいって呼んだでしょ」 「それで済む問題か・・・?!」 「ぼ、暴力反対」 胸ぐらをつかんで引きずり上げられ、爪先が地面と触れるか触れないかというくらいまでに吊し上げられたルカは慌ててマリアの手を握った。 「お詫びにご馳走しますから」 「吐いた分だけ食えってか？」 「そ、そんなんじゃ・・・」 「もうちょっとましな手を考えろ、バカヤロー！」 |