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「あなたでは世界は救えない」 わかっているよ、そんなことは。 私には世界を救うことなんて、できやしない。たった一人で何ができるというのだろうか。『ガーディアン』プロジェクトが機能していても、それでも犯罪者、犯罪被害者は増え続ける一方だ。 私がいても、どうにもならない。 でも、ほんの一瞬でもいい、ほんの僅かな効果でも期待できるのなら、私は投げ出すことはできない。出来ないのではなく、投げ出したくない、のだ。 ひとがどうあろうと関係ない。でも、自分と同じ想いをすることがわかってる人間をそのまま見過ごすことは、耐え切れない苦痛だ。それはその人間の辛さや苦しみとは関係なく、自分自身が苦痛だからだ。 自己満足で良い。 どうせ「誰かのため」に何かをすることなど、できはしないのだから。 「あなたは破滅する。あなたは消滅する。あなたは崩壊する」 どう生きようと、いずれは消滅する。 好きなように、やりたいようにさせてもらうさ。せいぜい、ご忠告を胸にとどめておくことにするよ。 「さようなら、翡翠」 夢を、見なくなった。 良い夢も、悪夢すら、あの心配性の女も。 往生際が悪いというのは、私のことを言うのだろう。いちいち夢に言い聞かせてもらわなければ納得できないなんて、困ったものだ。とりあえず、その被害を被った揚羽には、今度その埋め合わせに何かご馳走しよう。 もちろん、本来の意味の「奢り」で。 |