|
「あら珍しい」 嶋村涼子は目を大きくした。面会人が来ていると言われて出てみると、そこに居たのは学生服を着たままの光だった。 「一体どうしたの？そんな格好で」 「ガッコの帰りだからだよ」 「あら、ちゃんと通ってるのね」 「義務教育ってヤツですから」 にっこり微笑み合って腹の探り合いをした後、光が言った。 「ちょっと、涼子さんに頼みがあって」 「何かしら？言っておくけれど、事件のもみ消しなんか出来ませんからね」 「ヤなおばさん」 「何ですって！」 「ヤなこというお姐さんですね」 「・・・何よ」 「あのさ、この間、火ぃ吹いたバカが三人居たじゃん。あいつらの写真か何か見せて欲しいんだけど」 涼子は困ったように肩を竦めて見せた。 「それは悪いけど無理よ。あの子達はまだ未成年者でいわゆる少年Ａくんたちだから、部外者には公表できないのよ」 「そっか、やっぱ無理だよね・・・じゃあさ、これだけでも教えてもらえないかな。どんなタイプのヤツ？」 「どんなって、まあどこにでも居るようなタイプの」 「ごめん、言い方が悪かった。・・・どんなタイプの顔してた？芸能人やれそうな今時のタイプのやつじゃなかった？」 「その通りよ。三人とも女の子たちから人気があって、選り取りみどりで、かなり遊んでいたらしいわ・・・どうしてわかったの？」 光は深いため息を吐いた。 もしも違ったのなら、光の想像は外れていてくれたのだ。だが、三人が三人とも容姿端麗で、異性からちやほやされているタイプだったのなら、・・・。 「ちょっとね」 「・・・何か企んでいるんじゃないでしょうね」 「失礼な、俺はあんなバカじゃないからね」 「わかってるわよ」 間髪入れず返ってきた言葉に、光が目を大きくする。だが、涼子はそんな光の反応を気にも留めなかった。 「私が言ってるのは、あの子達を操っていた元を探ろうとしたり、手出ししたりしようとしているんじゃないのかってことよ」 「あー・・・そういうことね」 「もしそうだったとしたら、悪いことは言わないわ、およしなさい」 「・・・俺じゃ太刀打ちできない？」 「・・・そうね、キミには力も、アタマもある。多分、互角以上に戦える・・・でも、ダメよ」 「どうして」 「キミには宗佑が居るわ」 ぴくりと光の眉が動いた。不愉快そうな色が瞳を掠めたが、すぐに目を伏せてしまった。本当に涼子が言いたかったことに気づいたからだろう。 「キミが相手をする価値はないのよ。わかるでしょう？」 「そりゃ、まあ・・・でも」 「何よ」 「相手が放っておいてくれないと思うよ」 |