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「足跡って、なんだか好きじゃないな」 羅謝が空を見上げながら不満そうに呟きました。僕が黙って羅謝の顔を見ていると、振り返って同意を求めるように眉を顰めました。 「だってさ、消したら怒られそうじゃない？」 「誰も怒らないと思うけど…」 「怒るよ。だって華南、僕が船長の足跡を消そうとしたら怒って止めたじゃない」 「仕方ないよ、誰も月に僕らが居るって思ってないもん。もしまた誰かが月に来た時に足跡が消されてるのを見たら、物凄く騒がれるよ」 「いいじゃない、きっとびっくりするよ？みんなが慌てるのを見てるのって、面白いじゃない」 「ダメだよ、僕らを探しに来たらどうするの？」 僕と羅謝は、二人で月で暮らしています。二人っきりで遊ぶことに飽きるのか、羅謝は時々とんでもないイタズラをしようとするのです。そのたびに僕が止めるのですが、何回かに一度は止められなくて、とても冷や冷やさせられます。 羅謝は、つまらなそうに肩をすくめました。 「つまんない」 「…僕と遊ぶの、つまらない？」 「華南、ちょっとズルい」 羅謝は微笑んで、立ち上がりました。 「消さない代わりに、僕の足跡も並べてつけてもいーい？」 「だめっ、もっとダメ！」 「つまんなーい！」 |