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「…羅謝？」 僕が時計のネジを巻き終えた時、羅謝はじっと地球を見ていました。 「ほら、華南。日が沈むよ」 羅謝の指差す先を見ると、丁度昼と夜の境がそこにありました。片一方は明るく、もう片方は暗い夜の世界。僕らのいる月の世界も、太陽が地球の影に隠れていく、夕暮れの時間帯にさしかかろうとしていました。 「ホントだ。随分日が長くなったね」 「そうだね。特にあの地域はもう初夏だもん、七時過ぎててもまだ明るいんじゃないのかな？」 「夜って言っても、凄く明るいよね…繁華街とかって、街の灯りがずっと消えないもんね。いつ眠るんだろう？」 「僕たちと同じじゃない？他のみんなが目を覚ます頃に、眠るんだよ、きっと」 そういって、羅謝は僕に笑いかけました。 「世界の目覚めが、僕らの眠りなんだ」 「…そうだね」 僕たちは、いつも二人っきりの世界にいます。他の人に邪魔されない、僕たちだけの時間を過ごして、そして、眠りに就きます。でも、本当は眠るのは僕だけ。羅謝は僕が眠っている間、どうやって時を過ごしているのでしょうか。以前一度だけ聞いた時、羅謝は笑って答えはしませんでした。 「ねえ、華南？」 「え、なに？羅謝」 「ねえ、今日は何して遊ぼっか？」 「…そうだね、何して遊ぼうか？」 |