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そういうわけで、僕と羅謝は二人であるいていました。 「ねえ華南、月ってどういう風に見えているんだろうねえ？」 羅謝が少し意地悪い目をして僕に尋ねました。本当は、答えをしっている 口振りで。 「そんなこと知って、どうするの？」 「華南は知りたいと思わないの？」 「知ったって、どうってことないもの。どうせ僕たちには見えないよ」 「華南、知ってる？」 羅謝は全然僕の言うことを聞いていない風でした。 「月ってねえ、いつも同じ面を向けて浮かんでるんだよ」 「ふうん」 「月の裏側には秘密基地があるんだとかいう説もあるんだって。人間の考え ることっておかしいね」 「張りぼてになってるって説もあるんだよ」 「えっ？」 さすがの羅謝も、この僕の答えには驚いたようで、すぐに返事が出来ない ようでした。いつもの意地の悪い微笑がどこかへ行ってしまっていました。 「・・・変なこと考えるんだね、ほんと」 「僕が考えたんじゃないよ」 「わかってるよ」 少し首を傾げて、羅謝は微笑みました。 大きな目が、僕の目を覗き込んでいました。 「その人たちに教えてあげたら？月には僕たちが居るって」 「教えたって信じないよ、きっと」 「張りぼては信じられても？」 秘密基地や張りぼてが信じられるのなら、僕たちのことも信じられる？ 「・・・無理じゃない？」 「やっぱりダメか」 羅謝はくすくす笑うと、僕の手をとって、ぐいっと引っ張りました。 「ね、華南、あそぼ」 「・・・うん」 振り返ると、地球が山の向こうに沈んでいくところでした。 |