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「暖冬ってなんだ？」 「温かい冬のことだよ」 翡翠は夢うつつで答えた。 「暖かい冬って、ヘンじゃないか？だって、寒いのを冬と言うんだろう？ 温かかったら、春とか、夏とか言うべきだ」 「そうじゃなくて、季節なんだから良いんだよ」 「じゃあ、寒くっても俺が夏と決めたから冬をこれからは夏と呼べ、って 言ったらお前は冬を夏と呼ぶのか？」 うるさい。翡翠は丸くなって唸った。 「うるさい」 「うるさいとは何だ、俺が訊いていることにきりきり答えないか！」 「夏は夏だし冬は冬だよ」 「誰がそんなことを言ってるんだ、俺は何故暖冬という言葉が大手を振っ て罷り通って居るんだときいてるんだ」 「僕が決めたんじゃない」 「誰がお前のせいだと言った」 「違うの？」 「・・・違わない」 枕がない。枕はどこに行った？ 「おい、俺の訊いていることに答えろってば！」 「枕・・・」 「誰が枕の話をした！」 「僕の枕・・・」 「ほら、これだろ」 「うん、そう」 ひんやりとしたいつもの感触。翡翠は満足して枕の上に頭を乗せた。 「暖かい冬という言葉が罷り通るなら、冷たい春でもいいわけだな？」 「良いよ。赦す」 「使うぞ」 「良いよ。僕が許可する」 「・・・じゃ、俺がそこの商店街で欲しい物みんなタダで巻き上げてき ても、構わないんだな？」 「うん・・・」 そこで、はっと目が覚めた。 「待った、孔雀！」 「・・・は？」 そこは、『大法廷』の大会議室だった。 |