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「知ってるか。このプールには毒が入ってるんだ」 「へえ、そうなんだ」 「…ちょっとは驚けよ」 「いやだよ、面倒くさい」 「お前は何でそう無気力なんだ！」 「君に付き合ってプールなんかに来てる時点で十分だろう？！」 「プールなんかとは何だ、プールなんかとは！このプールにはなあ、入るだけでカネ取られるんだぞ！」 「そのお金を払ったのは僕だけど？」 「うむ、俺がお前の金で払った」 「…で、もう良いの？」 「何が？」 「プール。泳ぐのに飽きたから僕のところに来たんでしょう？」 「イヤだ、俺はまだ泳ぐんだ！」 「どうぞ、止めないから。一万キロでも二万キロでも、好きなだけ泳いできてくれ」 「一万キロ泳いだら何かくれる？」 「…明日の入場料も出してあげるから、読書の邪魔しないでくれないかな」 「何でお前はプールに来てまで本読んでんだ？」 「何で君は読書してる僕を無理にプールに連れてくるの？」 「泳ぎたいから」 「僕も本を読みたいから読書してるんだよ。…泳いできたら？」 「うん。ところでさ」 「うん、確かにプールには塩素が入ってるけど、多少飲んだところでどうってことないから」 「…そうなのか」 「だから安心して泳いでおいで」 「…な、二万キロ泳いだら何かくれる？」 「重りをつけて沈められたくなきゃさっさと泳いで来いッ！」 「何でそんなに怒ってんだよ？」 「…プールに毒が入ってるからじゃないかな」 「塩素って匂いするもんな」 「うん、そうだね」 「あのさ」 「なに？」 「明日も来ような？」 「…そうだね」 |