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ふうっと細く息を吐いてみた。 大丈夫。まだ、息が出来る。あと五分、保てばいい。 「こいつ、まだ微かだけど息してるよ」 「往生際の悪いヤツだな」 足音が近付いてくる。まだだ。まだ、もう少し・・・もう少し、近付いたら。 ぴたりと足音が止まった。首に指が絡み付く。わずかに力がかかった次の瞬間、 孔雀は全ての力を出しきって、火焔を召喚した。全てを焼き尽くす、畏界の炎。 死なば諸ともに------ 「うわっ、冷てーっ？！」 頭から冷水をぶちまけられて、驚いて目を開けると------ぐっしょりと髪から 水を滴らせた治安『判事』が憤怒の表情もすさまじく、孔雀を睨み付けていた。 「寝惚けて火焔呪なんか、使うなぁっ！！」 「あれ、孔雀、また何か罰点喰らってるよ。今度は何をやらかしたんだろ？」 「寝惚けて『判事』の部屋で火焔を召喚したんだって」 「おやおや」 「それで、スプリンクラーが作動したらしいんだけど。何しろ畏界の炎だから、通 常の五倍くらいの水が一気に放出されたとか」 「ふーん。このクソ寒いのに水浴びとは、ご苦労様だね」 「『判事』がそれで気管支炎を悪化させて、入院したんだって」 「で、孔雀が看病させられたんだ」 「そうみたいだね」 「この頃、子守づいてるから丁度いいんじゃないの？」 「そうかも」 |