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「ふくむのせんせいって、なに？」 「えーとね、国家公務員に相応しい身の処し方というものがあってね、規範に則った生活をしなければならない、というのがまずあるんだ。それから、職務上知り得た事柄を他言してはならないという法律があって、それを破ると処罰の対象になるんだ。国家公務員は任官されるときに、それらを守ることを宣誓しなければならないんだよ」 「ふーん。何か、大変なんだな」 「そうだよ。たとえ職務を離れたところでも、公務員は公務員であるとみなされるから、例えば飲酒運転なんかで捕まると、まず間違いなく懲戒免職だね」 「厳しいな」 「職務上とはいえ、ある一定の権限を持つわけだから、それに相応しい自律を求められるのは当然だよ」 「ふーん。で、ベータ・ゾーンにもアルファ・ゾーンにもそういう決まりがあるわけだ」 「そうだよ。アルファ・ゾーンとは多少違う部分もあると思うけど、僕ら『判事』を初めとする全『法廷』職員は任官されるに当たって服務の宣誓をしているし、宣約書にも署名して提出しているよ」 「・・・職務上知り得た事を漏らすと、どうなるんだ？」 「処罰の対象となるね」 「お前が俺の小学校のときの作文とか成績表とかのコピーを持ってて、事ある毎にバラ撒くぞって脅したりするのは、その秘密漏洩の罪に当たるんじゃないのか？！」 「別に職務上知り得た事実じゃないから」 「でも、お前と俺は『判事』と『ガーディアン』で、雇用者と被雇用者の・・・」 「君んちに行ってマージャンに付き合わされるのは職務上のことじゃなくて、一般的に言う交友関係にある人とのお付き合いだろ？一般論として、道義的に非難されることはあるかもしれないけれど、秘密漏洩の罪には当たらないね」 「・・・でも他に何か漏らしたことあるだろ」 「例えば？」 「え・・・えーと・・・」 「大体、君に漏らされて困るような情報なんかないじゃない」 「あ、あるぞッ！」 「例えば？」 「こ、高校ん時の成績とか、小学生ん時の作文とか！」 「他には？」 「ほか・・・」 「・・・」 「・・・」 「・・・ないの？」 「・・・探せば、あると思う・・・」 「じゃ、僕が治安『判事』でいる間に探しておいてね」 「うん」 結論。 平成１７年４月１日、個人情報保護法が完全施行されるそうです。 「いやだから、漏らされると困るんだって」 「だから漏れるものが元々ないじゃない」 「・・・」 |
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