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周囲には冷ややかな目、嫌悪の目しかなかった。だが、絶対にこの法案には毛一筋ほどの穴もないという自信がある。 何のために生きてきたのか。 何のために法律大学残留要請を蹴ってまで、嫌われ者の最低のセクションを目指したのか。 全てはこの日のために。 この法案の可決のために。 「治安の悪化を食い止め、尚かつ維持、向上するにはこの方法しか残されていません」 全ての人間が注視する中、翡翠は言った。 「認めて下さい！」 がん、ともの凄い音がした後、呻き声が聞こえてきた。 「痛え・・・」 翡翠はベッドに横たわったまま、昨夜は孔雀が居間のソファーで寝たことを思い出した。 ちゃんとソファーベッドになるのに。ちゃんと二人で布団を敷いて、準備したのに。なのに、何でテーブルへ頭から落ちるかな。 『ガーディアン』のくせに、鈍くさい。 翡翠は寝返りを打って、先ほどの夢を思い返していた。 実際は、翡翠が議会で演説したわけではない。『大法廷』で『大判事』達を説得できれば、後はまず間違いなく議会を通る。翡翠も、『大判事』相手にしか話はしなかった。あんな演技掛かった言葉遣いもしていない。もちろん、様々なデータは全て揃えて『大法廷』や議会へ提出はしたが。 「・・・ヘンな夢」 翡翠は呟いた。 何故か、聴衆の中に、うどんを啜っている孔雀が隅っこにいて、翡翠の視界からは外れて見えない位置にいるはずなのに、そこに孔雀が存在していることがわかっていて、尚かつ「またあんなに食べてる」と思っていたのだ。 過去と現在が混じり合い、虚構を生み出す不思議な夢。 孔雀はもう一度寝直すことにしたらしい、早くも寝息が聞こえてくる。 時計を見ると七時過ぎ。今日は久しぶりの休日だ、ゆっくり休むことにしよう。 翡翠も欠伸を噛み殺し、再びゆっくりと目を閉じた。 |