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「大人は何であんなにも偉そうなんだ？」 治安法廷に入ってきた最年少『ガーディアン』、空知星夜が開口一番、言い放った。 「何かあったのかい」 子供の『ガーディアン』の存在はすぐに他『法廷』や警備員たちにも周知されているはずだが、・・・体の小さな星夜の見かけに騙されているのかな、と思ったが、翡翠はあえてそこには触れずに訊ねてみた。 「別に大したことじゃないけどさ。今日、薬品購入に出かけたいから、って外出届出してたろ」 「ああ、そうだったね」 「薬局のヤツがさ、『ボーズ、お使いか』だって。僕が自分で使うんだって言ったら、へー、そりゃすげーや、って馬鹿みたいにゲラゲラ笑って『落とすんじゃねーぞ』って言いながら渡すんだ」 「まあ、君みたいな子供が天才科学者だとはどうしても思えないから仕方ないさ」 「だけどさ、今日買った薬品は使いようによっちゃ何百人でも殺せる化合物を作り出せる材料にもなるんだよ？落とす馬鹿がいると思う？」 星夜は買ってきた薬品と購入伺い控えとを翡翠に渡しながら、なおも文句を言った。 「ま、仕方ないさ、大人は偉いから」 「でも偉くない大人だって居るだろ」 「ホントは偉くないのを取り繕うために偉そうにしているのさ」 「・・・なるほど」 得心したのだろうか、こっくりと頷いた星夜はチェックを受けて返された薬品と購入伺い控えを受け取り、にやりと笑った。 「翡翠はどっち？」 「さあね」 にっこり笑う翡翠。 偉い人だけど、偉そうにはしない翡翠。だけど、腹の中は真っ黒だよね、と星夜は心の中で呟いた。 |